建設業許可を取得したいけれど、どのような条件が必要なのか複雑で難しいですよね。
この条件は大きくわけて以下の6つあります。
♦建設業許可取得の要件♦
(1)経営業務の管理責任者がいること
(2)専任の技術者がいること
(3)請負契約に関して誠実性があること
(4)金銭的信用があること
(5)欠格要件等に該当しないこと
(6)適切な社会保険に加入していること
今回はそのうちの(1)経営業務の管理責任者がいることについて詳しく確認していきます。
経営業務の管理責任者って何?
経営業務の管理責任者(通称、「経管」)とは、建設業の経営業務を適正に行うための総合的な管理をする者で、建設業経営に関し一定の経験を有していることが求められます。
主に常勤性・経験年数・の2つの条件を満たすことで経営業務の管理責任者についての要件をクリアすることができます。
以下でその2つの条件を確認していきましょう。
経管に必要な条件1、常勤性
経営業務の管理責任者は常勤であることが必要です。
常勤とは、原則として休日や勤務を要しない日を除いて毎日所定の時間中にその業務に従事していることです。
つまり、他社の代表取締役や常勤取締役との兼務、他の建設業者における経管・専任技術者の兼務等は認められません。
また、現住所から事業所までが遠距離で常識的に通勤不可能な場合も認められません。
経管に必要な条件2、必要な経験年数
必要な経験年数は(常勤役員)1人で条件を満たすパターンと、常勤役員1人+補佐する者で満たすパターンがあります。
◆1人で必要な経験年数の条件を満たす
まず、法人の場合は常勤の役員のうち1人が、個人の場合は本人または支配人のうちの1人が下記の表の①、②、③のどれかに該当しているか確認してください。該当してる場合はその人を経営業務の管理責任者として申請できます。
①建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
②建設業に関し経営業務の管理責任者に準ずる地位(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)にある者として5年以上経営業務を管理した経験を有する者
③建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補助する業務に従事した経験を有する者
◆常勤役員1人+補佐する者で必要な経験年数の条件を満たす
上記①、②、③に該当している人がいない場合、以下の表の④、⑤を確認してください。
令和2年(2020年)10月から経管に必要な経験年数について条件が緩和され、個人として経営業務の管理責任者としての能力や年数が不足していても、組織として能力が足りている場合には、基準に適合しているものとして認められることになりました。
つまり、常勤役員と補佐する人が揃うことで、経営業務の管理責任者として認められるということです。
常勤役員等のうち1名 | 常勤役員等を直接に補佐する者 | |
④ | 建設業に関し2年以上役員等としての経験を有し、かつ、5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者 | 許可の申請を行う建設業者において5年以上の、財務管理、労務管理及び業務運営の業務経験を有する者(各業務経験を1人が兼ねても、それぞれ業務経験を有する者を設置してもよい) |
⑤ | 5年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有する者 | 許可の申請を行う建設業者において5年以上の、財務管理、労務管理及び業務運営の業務経験を有する者(各業務経験を1人が兼ねても、それぞれ業務経験を有する者を設置してもよい) |
例えば、
以前X建設会社で2年常勤役員をして、Y食品販売会社で3年常勤役員していた、Z建設会社の常勤役員Aさん
Z建設会社で5年以上建設業の財務管理を行っていた常勤Bさん
Z建設会社で5年以上労務管理と業務運営を行っていた常勤Cさん
このAさんとAさんを直接補佐するBさん・CさんがいることによってZ建設会社は⑤の経営業務の管理責任者の要件を満たしていることになります。
このように①~⑤のどれかに当てはまる場合、経管の要件をクリアしている可能性が高いです。
ただし、建設業の許可を申請する際は上記の要件を満たしていることを証明する書類が必要となります。
まとめ
名義貸し等で申請をすることは虚偽の許可申請にあたり、重大な建設業法違反となりますので絶対にやってはいけません。
また、建設業の許可を取得したあとにも、経営業務の管理責任者が退職等で不在となってしまい、後任がいないと許可は取消になってしまいます。
突然不在となってしまうことのないように、日頃から経営業務の管理者の条件を確認して今後を見据えて適切に配置しておくことが重要となります。