建設業許可を取得したいと考えている事業者様の多くがぶつかる疑問に、専任技術者の要件を満たしているのかどうか、があります。
なぜなら建設業許可を取得するには以下の6つの要件を満たす必要があり、特に(2)専任の技術者がいること、の条件を満たす方法は多岐にわたり、その判断や証明が難しい場合が多いからです。
◆建設業許可の要件◆
(1)経営業務の管理責任者がいること
(2)専任の技術者がいること
(3)請負契約に関して誠実性があること
(4)金銭的信用があること
(5)欠格要件等に該当しないこと
(6)適切な社会保険に加入していること
それでは、今回は(2)専任の技術者がいること、について解説します。
専任の技術者ってどんな人?
建設業許可の6つの要件の1つとして、専任の技術者を各営業所に置かなければなりません。
専任の技術者とは、「その営業所に常勤して専ら職務に従事している、許可業種の工事について知識や経験のある人」のことです。
請負金額500万円以上の大きい規模の工事では、工事中や完成後にも多くの人が関わるため、ミスなく施行してもらわなければ大変なことになってしまいます。
建設工事に関する請負契約を適正に結び、しっかりと履行するために営業所ごと(=専任の)に許可を受ける業種について一定の資格や経験を持つ人(=技術者)が重要なのです。
その建設業種に対してのスペシャリストというイメージですね。
専任の技術者は実際何をする人なのか
専任の技術者は、注文者に対して技術的な説明をしたり、請負う建設工事の工事方法の検討、建設工事の見積・入札・請負契約の締結等が適正に行われるよう、技術的なサポートをします。
また、現場に出る職人さんに対しては、建設工事が適正に行われるように指導監督をします。
どうやったら専任の技術者になれるか
専任の技術者になれるかは常勤で勤務しているかに加えて、「国家資格等」、「学歴」、「実務経験」の3つの組み合わせで判断されます。
この組み合わせは非常に多く、当てはまっているかどうかがわからないとご相談に来られる事業者様も多くいらっしゃいます。
さらに、許可を受けようとする建設業が一般建設業であるか、特定建設業であるかによっても必要な組み合わせが変わるので非常に厄介です。
それでは、一般建設業許可と特別建設業許可における専任技術者の要件について、確認していきましょう。
一般建設業の許可における専任の技術者の要件
以下の4つのうち、どれかを満たすことで、一般建設業許可の専任技術者になることができます。
①国家資格等を持っている
許可を受けようとする建設業種に応じた国家資格等を有する者
②国家資格等+実務経験(令和5年7月建設業法令改正より)
許可を受けようとする建設業種に応じた国家資格等を有し、さらに一定の実務経験を有する者
③学歴+実務経験
許可を受けようとする建設業種に応じた学歴を有し、さらに一定の実務経験を有する者
④10年以上の実務経験がある
許可を受けようする業種について、10年以上の実務経験を有する者
令和5年7月より、許可を受けたい建設業種に対応する国家資格等+資格取得後の実務経験によって専任技術者の要件を満たすことが可能になりました。
今まで10年の実務経験でしか専任技術者になれなかった方でも、持っている資格と実務経験3年・5年を積んでいれば、専任の技術者として認められる場合があります。
特定建設業の許可における専任の技術者の要件
以下の3つのうち、どれかを満たすことで、特定建設業許可の専任技術者になることができます。
①国家資格等を持っている
許可を受けようとする建設業種に応じた国家資格等を有する者
②一般建設業の要件+指導監督的実務経験がある
一般建設業の許可の要件(上の表の①~③)を満たし、さらに許可を受けようとする業種について、元請として、4,500万円以上の工事を2年以上指導監督した経験を有する者
※指定建設業7業種は除く
③大臣が認定した者
注意すべき点は、②の一般建設業の要件+指導監督的実務経験についてです。
指定建設業7業種(土木工事業・建設工事業・電気工事業・管工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・造園工事業)は②の要件を満たしていても専任技術者として認められません。
つまり、この7業種に関しては①又は③を満たす必要があります。
まとめ
今回は建設業者における専任の技術者について、ご説明しました。
もしご自身で受けたい許可の専任技術者に当てはまるかを確認する場合、国家資格等→学歴→実務経験の順に確認していくのが簡単なのではないでしょうか。
専任の技術者が退職や転勤で営業所から不在となってしまうとせっかく取った許可が取消になってしまいますので、しっかりと確認し、必ず営業所ごとに配置しましょう。