建設業の許可を取ろうと考えたときに、知事許可と大臣許可のどちらを取ればいいのか悩むこともあるのではないでしょうか。
県外で工事をするためには大臣許可が必要だと思われている方も多いようです。
今回は、知事許可と大臣許可の違いについてご説明します。
知事許可と大臣許可
建設業許可には都道府県知事許可(知事許可)と国土交通大臣許可(大臣許可)があります。
都道県知事と国土交通大臣のどちらに申請するかは、営業所の所在地によって変わります。
営業所が1つの都道府県にある場合は知事許可、
営業所が2つ以上の都道府県にある場合は大臣許可を申請します。
建設業法における「営業所」とは
それでは、建設業法における営業所とはどのようなものをさすのでしょうか?
建設業法での営業所とは、常時建設工事の請負契約を締結する事務所のことを言います。
この「常時建設工事の請負契約を締結する」とは、
建設工事の見積りをはじめ、工事や入札の請負契約の締結を行うことは勿論ですが、
締結を直接行わなくても指導監督を行う等、建設工事の契約に関して実際の権限を持っていることが重要となります。
上記のことを行っている事務所であれば、本店・支店・営業所・出張所などの名前に関わらず、「営業所」にあたります。
2つ以上の営業所を持つ場合
知事許可と大臣許可のどちらの許可を取得するべきか、実際の例を挙げて考えてみましょう。
◆同じ県内に2つの営業所を持つ場合
兵庫県の姫路市と赤穂市に営業所を持つ場合、知事許可と大臣許可のどちらを取得すべきでしょうか?
このように複数の営業所があってもすべて同一県内の場合は、知事許可(兵庫県知事許可)を取得することになります。
◆2つ以上の都道府県に営業所を持つ場合
兵庫県と岡山県に営業所を持つような場合は、前述したように大臣許可を取得することになります。
また先に兵庫県の知事許可を持っていたとしても、新たに岡山県に営業所を設置する場合は大臣許可を取得しなければなりません。
◆複数事業の知事許可を持ち、そのうちの1種類の事業を扱う営業所を新たに県外に置く場合
少し混乱しやすいのですが、例えば兵庫県で管工事業と鉄筋工事業の知事許可を取得していた建設業者が新たに岡山県で管工事業の営業所を設ける場合はどうすればよいでしょうか。
この場合、管工事業だけ大臣許可を受けるわけにはいかず、この建設業者は管工事業、鉄筋工事業共に大臣許可を受ける必要があります。
なぜなら同一の建設業者が知事許可と大臣許可の2つの許可を同時に受けることはできないからです。
取得したい許可はどちらなのかチェックしましょう
以下のフローチャートを用いて自身の取得したい許可が知事許可なのか大臣許可なのか、しっかりと把握しておきましょう。
知事許可で県外の工事をするのは可能か
知事許可を持っている建設業者が県外で建設工事をすることは可能でしょうか?
実は建設工事自体は、営業所の所在地に関係なく日本全国で行うことが出来ます。
例えば、兵庫県の知事許可を持っている営業所で契約した請負契約に基づいて、広島県で工事することも問題なく行えます。
つまり、知事許可であっても県外の工事をするのは可能ということになります。
まとめ
知事許可と大臣許可の違いについて誤った理解で申請しようとしてしまうと、補正に時間がかかり思った時期に許可を取得できないことがあります。
結局のところ、知事許可と大臣許可についての違いは営業所が1つの都道府県にあるか否かなので、そこに注意して申請をするようにしてください。