建設業者様の中には、産業廃棄物収集運搬業の許可を考えていらっしゃる方もいると思います。
許可を持っていないのにゴミを運んだ場合、法に抵触してしまう場合もあります。
しかし一方で、現場から出たゴミを運ぶためには、絶対に収集運搬の許可を持ってないと違法だ!と、いうわけでもありません。
今回は、産業廃棄物の収集運搬業の許可はどのような場合に取らなければならないのか、をきちんと理解していきましょう。
産業廃棄物収集運搬業の許可が不要な場合
現場で出たゴミを運搬する場合、許可が必要な場合と不要な場合があります。
まずは許可が不要な場合を確認しましょう。
・自社運搬を行う場合
元請け業者さんが、産業廃棄物を自社で運搬する場合、収集運搬の許可は不要です。
例えばエアコンの取り付けをご依頼者様から直接請け負った建設業者様が、その際に出た産業廃棄物を処分先に自社で運搬する場合、許可がなくても問題ありません。
ただし、自社で運搬する場合でも遵守すべきルールはございますので、法律をしっかり守って、安全に適正に運搬してください。
・現場のゴミが、産業廃棄物ではなかった場合
現場で仕事をしていると、お昼ごはんのゴミが出ることもあります。
このゴミは「産業廃棄物」にはあたらないため、他者のゴミをまとめて運んでも違法ではありません。
しっかり持ち帰り、適正な捨て方で捨てましょう。
また、下請けで入っている現場の建設発生土やスクラップ等は有償で取引される有価物にあたり産業廃棄物ではありませんので、有価物の運搬に許可は必要ありません。
産業廃棄物収集運搬業の許可が必要な場合
次は産業廃棄物収集運搬業の許可が必要な場合です。
・第三者の産業廃棄物を運搬する場合
各事業所で出た産業廃棄物を収集・運搬してまわる事業者さんは勿論収集運搬業の許可が必要です。
また、下請け業者さんが現場で出た産業廃棄物を処理場に運ぶのも許可が必要になります。
元請け業者さんが「このゴミ捨てといて!」と言ったからといって、無許可の下請業者さんが産業廃棄物を運ぶことは法律で禁止されています。
下請け業者さんが許可を得ないでも産業廃棄物を運搬できる例外があります
以下の条件をすべてを満たす場合、収集運搬業の許可を受けていない下請業者さんでも建設現場から出た産業廃棄物を運搬することができます。
少量の建設廃棄物の運搬における例外規定ですが、非常に限定された条件下での発生となりますので、本当に当てはまっているのかしっかりとご確認ください。(産業廃棄物処理法第21条の3 第3項)
- 建設工事に係る書面による請負契約で、下請負人が運搬を行うことが定められていること
- 特別管理廃棄物(PCB廃棄物、廃石綿など)以外の建設工事に伴い生ずる廃棄物の運搬であること
- 以下のどちらかに該当する建設工事に伴って生じる廃棄物であること
- 新築工事、増築工事、解体工事以外の建設工事で、発注者からの元請負代金が500万円以下の工事
- 引き渡し済みの建築物や工作物の瑕疵(欠陥など)の補修工事で、請負代金が500万円以下の工事
- 1回あたりに運搬される量が1㎥以下であることが明らかになるように区分して運搬されること
- 廃棄物が生じる事業場の所在地の属する都道府県または隣接する都道府県の区域内にある施設(積替え保管場所(元請業者が所有権または使用権原を持つ施設)を含む)に運搬されるもの
- 当該廃棄物の運搬途中において保管が行われないこと
まとめ
産業廃棄物の収集運搬業の許可を取らなければならない場合、不要な場合ご理解いただけたでしょうか?
産業廃棄物収集運搬業の申請書を役所に提出してから許可取得まで兵庫県では約2ヶ月程度かかりますので、現場が動き始めてから許可を間に合わせるのはかなり大変です。
許可を取得するためには講習も必要となりますので、出来るだけ早めの準備を行いましょう。