建設業許可を取れるだけ取るメリット・デメリット

建設業

建設業許可は、29種ある建設業種の中から取りたい業種の許可を選んで申請し、取得します。

税込500万円以上の工事の請負がありそうならば、早めに取っておいた方が良いでしょう。

有資格者の役員さんや従業員さんがいますと、自社がメインとして扱っている建設業種だけでなく、自社ではあまり請負金額の高くない業種や取り扱っていない業種の建設業許可も取得が可能になることがあります。

今のところ必要はなくても取れる許可は取っておくべきなのか、取らない方が良いのか、メリット・デメリットを挙げてご説明します。

 

必要がない許可を取っておくメリット

まずは今のところ税込500万円を超えなさそうな建設業許可を、取っておくメリットについてです。

建設業許可は申請先に申請する際、県証紙等で9万円の申請手数料(令和7年現在)が取られます。この手数料ですが、1度に複数業種の許可を申請しても、同じ金額しかかかりません。

つまり、例えば2級建築施工管理技士(躯体)の資格を持ってる方がメイン業務の大工工事の許可を取る際に、資格を利用して、とび土工、タイルレンガ、鋼構造物、鉄筋の建設業許可を一緒に取ったとしても、役所に支払う手数料は9万円と変わりません。

大工工事しか使わないからと、大工工事のみを取った場合、事業者様の状況が変わって追加で他の業種を申請したくなった場合、また費用がかかってしまいます。

このように、同時に取っておけば申請手数料が余計にかからないのは、大きなメリットです。

 

デメリット➀手間がかかる

次にデメリットをお話しします。

建設業許可を取る際、そして取った後の毎年の決算変更届で、許可業種の集計が必要になります。

上記の2級建築施工管理技士(躯体)の資格の例ですと、毎年5業種分の工事経歴書の作成、集計を行わなければなりません。

全く取り扱っていない建設業種ですと、ほぼ記載することがないため、あまり問題にはなりませんが、税込500万円を超えないくらいの「軽微な工事」がたくさんある業種に関しては経歴書や集計の手間が増えてしまうこともあるでしょう。

 

また、一人親方の場合はほぼ問題になりませんが、従業員さんが有資格者でたくさんの許可を取った場合、その人がお辞めになる際には建設業許可を引き継ぐ人材が必要になります。

新しい方が同じ有資格者であれば届出を出してそのまま引き継げばよいのですが、そうでない場合(他資格または経験等での専任技術者)、メイン業務のみ引継いで他の業種の許可は廃止することになり、若干の手間がかかるでしょう。金看板も変更が必要になってしまいますね。

 

デメリット➁技術者の配置義務

建設業の許可を取得したら、取得した業種に関しては、元請下請にかかわらず、全ての現場に主任技術者を配置しなければならない義務が発生します。これは税込500万円未満の「軽微な工事」でも許可業種であれば配置しなくてはなりません。

しかし、専任技術者は営業所の常駐義務がありますので、原則現場には行けません。(もちろんこれでは許可を取った1人親方が現場に行けなくなってしまいますので、特例はあります。)

配置できる人材が豊富な会社であれば問題にならないデメリットですが、専任技術者に当てはまる人が1人しかいないような会社では、建設業法を順守できるかというと少し難しい部分もあるかもしれません。

 

デメリット➂支店がある場合

建設業許可を取得している業種については、税込500万円未満の「軽微な工事」であっても、当該業種の営業所として届出をしている本店・支店でなければ、請け負うことはできません。

例えば本店では大工工事、支店ではとび・土工工事をメインにして「軽微な工事」で売上をあげていた会社があったとします。

大工工事が税込500万円を超えそうなこともあり、本店に2級建築施工管理技士(躯体)の有資格者を雇い入れ、大工工事以外にも一緒に取れるとび土工、タイルレンガ、鋼構造物、鉄筋の建設業許可もせっかくなので取っておきました。

すると困ったことに、支店ではとび土工の「軽微な工事」が受けられなくなってしまったのです。

許可を受ける前ならとび土工の「軽微な工事」は本店・支店どちらでも受けることができましたが、許可を受けると支店の受注が制限されてしまいました。

この場合だと、本店ではとび土工の建設業許可は取らない方が良かったのかもしれません。

参照:建設業許可事務ガイドラインの第3条関係

本店のほかにも営業所がある事業者様は注意が必要となる事例です。

 

まとめ

以上に挙げましたように、使わない建設業許可を取っておくことには注意が必要な場合があります。

1人親方など、許可を取っておいた方がメリットが大きい場合もございますし、デメリットがメリットを上回る会社もあります。会社の事業形態や状況によってそれぞれですので、専門家に頼むときは建設業に詳しい専門家を選ぶことをおすすめします。

きみなみ行政書士事務所では、許可の申請を代行するだけでなく、取得する許可を決める段階からご相談にのり、手続きをさせていただきますので、建設業の申請でお困りの際はご連絡ください。