建設業許可の申請書には、常勤役員等や建設業法施行令第3条に規定する使用人の「略歴書」や許可申請者等の「調書」、「営業の沿革」に賞罰を記載する欄があります。
賞罰の「賞」に関しては公の表彰歴を、「罰」に関しては刑事罰と行政罰について記載します。
特にない場合は「なし」と記載します。
刑事罰と行政罰といっても、どの程度書かなければならないのか少し難しいですよね。
先日のスピード違反で罰金を払ったけれど書くべき?と悩まれる方もいらっしゃいます。
今回は、賞罰の「罰」について、詳しく解説します。
略歴書や調書に記載すべき「罰」とはどの罰か
建設業許可の申請書の「略歴書」や「調書」に書かなくてはならない罰とは、「建設業許可の取得に際して欠格要件になりうる罰」です。
欠格要件については以下の記事を参照していただければわかりやすいと思います。
つまり、略歴書や調書に記載すべき罰(=欠格要件の対象となる刑罰)とは、
①「禁固以上の刑(禁固・懲役・死刑)」
②「一定の法律※に違反したことによる罰金刑」
※一定の法律とは、
ア)建設業法
イ)建築基準法、宅地造成等規制法、都市計画法、景観法、
労働基準法、労働者派遣法、職業安定法、
暴力行為等処罰に関する法律
ウ)暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律
エ)刑法(傷害、暴行、脅迫、背任、現場助勢、
凶器準備集合及び結集)
のどちらかです。
勿論違反があれば直ちに欠格要件になるわけではなく、前述した①、②の刑の執行が終わった日、又は刑の執行を受けることがなくなった日から5年経過していない場合が欠格要件にあたります。
上記にあたる刑を受けた経験があれば年月日と刑の執行を終えた日賞罰欄に記載しましょう。
行政処分も記載しなければならない
前項の刑罰・行政罰に加えて、記載しなければならないのが「行政処分」です。
建設業の行政処分(営業禁止や営業停止処分等)を受けていた場合、必ず記載してください。
①の「禁固刑以上」にも②の「一定の法律に違反したことによる罰金刑」にも当たらないため見逃しがちですが、行政側はしっかりとチェックしているのでお気を付けください。
どこまでさかのぼって「罰」を記載すべきか
それでは略歴書や調書に記載する「罰」はどこまでさかのぼって書く必要があるのでしょうか。
刑の執行を終えて5年経過していたら記載の必要がなくなるわけではありません。
建設業法第8条には、「許可申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、許可をしてはならない。」とあります。
つまり、意図的に記載しなかった場合、虚偽の記載とみなされ、5年間は建設業許可の取得ができなくなってしまう可能性があります。特に役所は虚偽申請を非常に嫌うので、過去に前述の罰を受けたような場合、正直に、そして正確に記載しましょう。
また、申請する地域によっては、過去10年の賞罰を記載、との注意書きがある場合もありますので、手引きや要綱をしっかりご確認ください。
まとめ
建設業許可の申請書における賞罰欄はちょっとした部分ですが、わかりづらい部分です。
これくらい大丈夫だろうと隠したとしても、役所が警察署や関係各所に照会すると事実が判明しますので必ず正直に記載してください。